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by rezam
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カステラとトッポギ

外国で暮らす日本人の作るコミュニティがあるように、日本にも在日韓国人コミュニティがある
でも日本名で日本の公立学校に通うわたしにとって、それは未知で怖いものだった

13歳の夏、わたしは始めて在日韓国人としてまわりを見た
ソウル大学内の学生寮で団体生活をする、という民団主催のサマースクールに参加したのだ
過保護な親を持つわたしはあまり外で遊ぶこともないような子供だったのに
パスポート申請をして、スーツケースに詰める洋服を買ったりしてるうちに
なんだか自分は 勇気があって男の子みたいな、活動的な子になったような気がして
髪も肩に軽く掛かる長さからばっさりショートにしたりして
わたしは変わるんだって思った

自分の名前をハングルで書けるようになって (もう忘れちゃったけど)
キムチが食べられるようになった
初めて自分と同じ立場の同世代の子達と逢って話をして
わたしは確実に強く、大きくなった

大学寮内の売店ではカステラが大人気で 
ぴったりのお金を渡しておばちゃんにコマスミダって言えるようになった
チョコレートの味がわたしの知ってるものと少し違ったのが哀しかったけど
そのかわりトッポギは大好きになった

以前に参加していた姉が見た38度線ではなくて、わたしたちは軍隊の砲弾練習を見た
弾の込められていない機関銃はとても重くて 
兵隊さんの首に掛かってるネームプレートの意味が心にも重くのしかかった

わたしたちはロッテワールドで遊んで
フードコートで買い食いもした

韓国の子達はなんだか服装がラフでリラックスしてて
お店で売ってるものはアメリカのものが多かった
ジャネット・ジャクソンのJanetをテープで買って何だか大人になったような気がした

夏でもひんやりとした朝の空気には、今そこに居る実感を
戦争博物館での実寸展示は恐怖と哀しみ、人間に対する絶望感を
国歌斉唱には右手を左胸にあて、初めて経験する包括感

13歳のその夏、わたしは色々なものと出逢い、初めての感情もたくさん知った
そして やっと素直に
わたしには名前が2つあってパスポートは深緑色なんだって 受け止められるようになった
# by rezam | 2006-10-15 13:28 | 昔のおはなし